❶カラオケとバンドボーカルを分ける6つの違い についてです。
「カラオケとバンドは違う」とよく言います。
確かにカラオケとバンドにはたくさん違いがあります。
なんとなく「カラオケで歌っています」というと、いくら歌が上手くても一般の歌好きというイメージですが、【ボーカル】というと、歌のレベルに関係なく、歌っている人(歌い手)とカテゴライズされる感じがしますよね。
でもカラオケはカラオケの良さも難しもあるし、プロのように素晴らしい歌を歌う方は大勢います。
バンドよりカラオケが好き!という方もたくさんいます。なので、カラオケシンガーよりバンドボーカルの方がエライと言っているのではありませんよ。笑
歌うことには変わりありません。
でももしあなたがバンドで歌う機会があるとか、ボーカリストとして歌っていくことを目指しているなら、カラオケとバンドボーカルの違いについて、ここは押さえておきたい!っていうポイントがあるのです。
そこを知らないばっかりに悔しい思いをして欲しくない!
・・・というわけで、ここではプロから見たアマチュアボーカルの問題点や、ミュージション側の目線からではなく【歌う側の目線】で、バンドボーカルについてのポイントを紹介していきます。
またよく言われているような、単にボーカル技術を上げるためのテクニックではなく、ボーカルだからこそ意識したいことや、ボーカルにしかわからない不安やギモンについて取り上げていきます。
すでにバンドでボーカルをしているという方はもちろん、
バンドで歌ってみたいと思っている方、
<ボーカリスト>あるいは<歌い手>としての意識を持って歌っている方に向け、
まずは「カラオケとバンドボーカルを分ける6つの違い」のうち、【前編】3つをお話しします。
あなたのボーカル・ライフを円滑にし、そしてカラオケ音源で歌ってもクオリティーを変えずに歌っていくために参考にしてください。
【1】バンドには、カラオケにはいないリアルな演奏者がいる
ボーカルとして歌っていくためには、まずカラオケで歌うことと、バンドで歌うことの違いを知っておく必要があります。
一番の違いは、演奏してくれる人と一緒にやるということ。
これって当たり前だと思うかもしれませんが、歌う側にとって、実はあまり当たり前ではない重要なポイントなのです。
バンドで歌うんだから、もちろん自分一人で歌っているのではないことは、皆さん重々承知しているのです。
ですが、そこには意外に気づきにくい盲点があるんですね。
それは、、、
たいてい歌が好きな人は、いつもCDやカラオケなどに合わせて歌っていますよね?
CDの場合、バックの音はプロのミュージシャン達のすでに出来上がっている演奏(音源)。
つまり知らず知らずのうちに、出来上がっている音源で歌うことが当たり前になっているわけです。
それに合わせて、自分の歌のクオリティーを上げていくことを目標にいつも練習しているあなたの一番の関心は、
その中で「自分がうまく歌えるようになる」こと。
ですがバンドでは、あなたが上手く歌うことが目的ではなく、
一緒に奏でていくことが目的なのです。
実はこれが大きな問題点です。
若い頃にヘタでもあれこれ言い合いながらバンドを経験してきた人は、試行錯誤しながらも「一緒に音を作っていく」ということを自然に学んでいます。
ですが、大人になってからのボーカル初心者にとって、そこは未知の世界。
◆カラオケやCDに合わせて好きなように歌っている「自分一人の歌の世界」と
◆実際にTVやCDなどで耳にする「プロの音楽の世界」
しか知らなければ、その感覚の違いはある意味、しょうがない部分でもあるのです。
でもそれではいい音は作れないし、ボーカルとして音楽を楽しむことはできませんよね。
ただ歌が好きというだけでなく、歌うことを突き詰めていくほど誰かにその歌を届けたくなるものです。
カラオケで歌っているだけでは物足りなくなってきますよね?
レッスンに来られる生徒さんも、はじめは「カラオケがもっと楽しめるように」という目的で来られますが、そのうちバンドに興味を持ちライブなどで歌っている方がたくさんいます。
こうした「人前で歌いたい。聴いてもらいたい」という気持ちがあなたをボーカリストにしていきます。これは大事なことです。
でもいくらカラオケで上手く歌えても【ボーカリスト】として通用するわけではないのです。
最近のバンドで歌い始めた生徒さんたちのお話を聞いていると。。。。
テンポもリズムも微妙に違うから全然、いつも通り歌えなかったんですよね。。。もうガッカリです。
このようにカラオケとバンドのボーカルには色々と違いがあります。
実際にバンドで歌うとやっぱり楽しいのですが、
「なんで練習の時のように歌えないの??」と、感じている方も少なくないハズ。
その違いが掴めていなければ、いくら歌が上手くてもバンドでは歌いにくい…と感じてしまいます。
⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎ ⬇︎
あなたがイメージしている音をバックに、歌えるワケではない。
そのギャップに違和感を感じてしまうこともあると思いますが、これが当たり前なので、この状況に慣れましょう(^-^)
もちろん自分のバックバンドだなんて思っているわけじゃないのですが、
周りからは、「これだからカラオケボーカルはね〜」とか「バックバンドじゃないんだから。。。」
なんて言われちゃうんですよね〜(>_<) ツライところです。
バンドの「いろは」がわからなければ、気がつかないうちに自分中心になってしまうので、ボーカルもバンドについて勉強しましょう!!
でも実際バンドメンバー探しって大変だし、やっと見つけても合わなかったり、そんなに気を使うくらいなら自分で弾き語りやった方が手っ取り早い!って思っちゃいますよね。
もちろん楽器ができるに越したことはないですよ。楽器ができる人の方が音楽的にも充実するし。
陽子さんが弾き語りをしたい!というなら、ぜひやるべきです。
でもそうじゃないなら、話がちょっと違ってきちゃうかも。
もし思うように演奏していくれる人がいないから、とか、人とやるのは面倒だから、といった理由で言っているのだとしたら、それは楽器に失礼です。
織りなす音楽は、一人ではできません。
たとえ弾き語りでも、誰かに聞いてもらう時点で一人ではないし、歌わせていただいてるという意識が大切です。
でもやっぱり私は私はカラオケの方が気がラク・・・バンドだと自由に歌えないんですよね。
実はバンドで歌うのが目標でもあるんだけど、やっぱりな〜んか気がひけるって言うか、引け目を感じるって言うか。。。
大丈夫。初めからできる人なんていません。
だからこそ、自信を持って歌えるように、練習も知識も経験も必要です。
バンドにはバンドでしか味わえない楽しさもあり、難しさもあります。
ナマの演奏ってことは、リアルな演奏者が音を出し合っているってこと。
その瞬間限りに生まれる音は、まるで生き物のようで、
そしてそれは、あなたのボーカル(歌)によって、いかようにも色を変えていくのです。
それを楽しむこともまた、乙(オツ)なものです。
【2】バンドメンバーひとり一人の楽器の存在を実感できている?
ボーカルはたいてい、歌うことだけに一生懸命になりすぎる傾向にあります。
なので、楽器の存在を忘れがち。
ですが、ここがバンドのボーカリストとしての一歩を踏み出す重要なポイントです。
実際、世の中がこんなに便利になり、カラオケの機能も本当に充実しているので、わざわざバンドでなくてもいいわけです。だって即座に何万曲ものカラオケ音源がピピッとボタンを押すだけですぐに再生できちゃう!
でもよく考えてみてください。
もしカラオケがなかったら、あなたはアカペラか弾き語り、もしくは自分のバンドを持つか、
ミュージシャンに演奏をお願いしなくては歌うことができません。
わたしも中学の頃から遊びでバンドを組んで、みんなでライブをやったり、
プロになってからは、大きなステージでミュージシャンの方たちに演奏していただいたり、
自分のバンドを作ってオリジナル曲をやったり、ギャラを支払って演奏をお願いしたことや、
お店の箱バンで歌っていた時期もあります。
現在は、数年間一緒に活動しているバンドでボーカルをさせていただいています。
いまは本当に便利な世の中で、曲をyoutubeでさがして共有できたり、楽譜も簡単に作れるし、それをクリックひとつでみんなとシェアできたりします。
ですがひと昔前は、このなんてことない作業が本当に大変でした。
たとえばオリジナル曲をバンドで演奏してもらうとしたら、とりあえず楽譜が必要です。
いまは簡単に楽譜が作れるソフトなどがあるけど、メンバーに譜面を渡さなくてはいけません。
私は楽器の演奏ができないので、まずは自分の曲を演奏してもらうために、コードを覚え、自分で楽譜を書くための勉強をしました。
簡単なデモ音源も必要です。
とりあえず、その譜面を見て自分でヘタなピアノを弾きながらボーカルを録音する。
さらに、ある程度どんなアレンジにしたいかイメージを伝えることも必要です。楽譜を渡すにもデモテープを渡すにも、いちいち郵便局へ行ったり何度も会いに行ったりするわけです。あ〜〜今思えばなんてシンドイ!!
自分の曲をまったく無の状態から、とりあえず楽譜やデモにするまで、どれくらいかかるか?
ちょっと想像してみてください。
それからメンバーのスケジュールを調整して、スタジオを押さえ、いよいよリハにこぎ着ける。
ドキドキしながら音を出してみる。
「う〜〜〜ん,イメージとなんかちがう。。。」
「これじゃ歌いにくい。。。」などと何度も何度も試行錯誤を繰り返し。
曲がカタチになるまでには歌の練習以外でやらなければいけないことが、たっくさんあるのです。
しかも、それを1からやるのは本当に大変なエネルギーと莫大な時間がかかるはず。
そうして、やっとの思いで歌うことができたのでした。めでたしめでたし。。。笑
どうですか?
どうしてこんなにクドクドと書いたかというと、このクドクド感がわかるかわからないかが大きな違いになってくるからです。
これがカラオケだと、ピピッとボタンを押すだけでできてしまうのです。
リモコンひとつでどんなカラオケも演奏を流したり中止したりキーを変えたり。
使うのは、ひと差し指1本だけ。笑
人が奏でている音をあまり聴く必要もないので、バックの音を大事にしません。
自分の歌を支えてくれている人たちの存在(音)も意識できません。
これも、カラオケ気分のボーカルが、ミュージシャンの顔を曇らせる原因の1つです。
当然バンドだと一人一人の顔が見れるし、一人一人の出す音に耳を傾けます。
そうすることによって、歌が変わってくるのです。ここがカラオケとは違うところですね。
たとえバンドのボーカルじゃなくても、その意識があればカラオケ音源で歌うときもバックの音をより意識できるようになります。
ピピッとやって、ただ歌いたいように(たとえ上手くても)歌っているのとは違うのです。
つまり何が言いたいかと言うと、ピピッとカンタンに鳴らせてしまうあの演奏は、まったくカンタンではない、人の血が通っているということなのです。
その1つ1つの音の存在を感じながら、
その前に立って歌わせていただいている、という気持ちが大切です。
相手の音を大切にするということ、それは、自分の歌を大切にするということ。
でもその前に、自分の音を大切にできなければいけませんね。
そこを感じられる人は、きっと素敵なボーカリストになるでしょう。
【3】カラオケの画面に向かって歌うのをやめよう
カラオケ気分のボーカルのありがちな悪い習慣。
これはただ「テロップを見ないで歌詞を覚えて歌いましょう!」ということだけではありません。
カラオケのモニター画面を見れないということは、
イントロ→歌い出し→間奏→次の入り・・・などのタイミングはもちろん、テンポやリズムがある程度つかめている必要がある、ということです。
これは、バンドボーカルとして大切なことです。
いつも使い慣れているカラオケ音源だと、 「間奏はここままで、そのあと2コーラス目に入って、サビは2回繰り返し〜」なんて何となく把握していても、楽器の編成が変わるだけで、全然違ったものになる場合もあります。
間奏から次に歌い出すタイミングがつかめず、「カラオケと違ってどこから入っていいのかわからない・・・」ということも多いでしょう。
まったくのコピーの場合であっても、演奏する人によって音も違います。
テンポ感が微妙に違うだけで歌いにくくなったりします。
アレンジが変わったり、ピアノ一本になったりしても、ある程度、
自分が歌う部分の入りは押さえておかなくてはなりません。
それに、カラオケではどうしてもモニター画面を見ながら歌ってしまいますよね?
聞く側も、歌っている本人よりモニター画面を通して歌を聴いてしまいます。
こんなふうにカラオケで歌うことに慣れていると、ステージに立った時、どこを見て歌っていいのか迷ってしまいます。
ボーカリスト(歌い手)として人前で歌う時は、視線が泳いだり、瞬きが増えたり、ずっと目をつむってしまったり、お客様を見つめすぎて困らせないように気をつけましょう。
とりあえず視線は、ステージでの立ち位置から見て、正面の壁より少し上くらいを基準にすると良いでしょう。
もちろんそこから視線を動かしても、目をつぶっても下を向いてもかまいません。
でもあまりキョロキョロ、ソワソワしないように。
モニターに向かって歌わない、というのは、単純に歌詞を暗記する!ということだけではなく、意識の問題でもあるのです。
もちろん歌詞は覚えた方がいいですが、たとえ歌詞を見たとしても、カラオケで歌ったとしても、
あなたの意識はつねに、聴き手に向いていなければなりません。
そう。カラオケのモニター画面に向かって歌うのではなく。
私の好きなジャズシンガー、エラ・フィツジェラルドは、時々思いっきり歌詞を見ながら歌いますが、見ているのに間違えたりします(笑)もちろん意識は歌詞(楽譜)になんかありません。
ガン見しているにもかかわらず、あんなにも自由に歌い、聴き手に届けてしまうのが不思議なくらい素晴らしいのです。
私もそういう意識で素敵なパフォーマンスができるようになりたいものです。
歌詞もちゃんと覚えてくださいね〜!!(←自分に言ってる。^^;)
そして歌詞だけでなく、自分をパートを把握しながら歌えるようになるといいですね!
【ボーカルライフ実践マニュアル】はまだまだ続きます。
今回は、❶カラオケとバンドボーカルを分ける6つの違い【前編】 ということで、その中で3つを取り上げましたが、【後編】3つはこちら。
初めまして。マイクの扱い方をネットで検索して見させて頂きました。バンド活動には全然縁の無く53年生きて参りましたが、去る6月にロックバーのセッションに初めて参加させて頂き、歌わせて頂きました。一応歌詞も、構成もしっかり把握していて、声も出ている積りだったのですが、メンバーの方にモニターのVoをもっと上げてくれ、と言われてしまい、記録で撮られたDVDを見てみると見事に声が乗っていませんでした(泣)。記事、とても参考になりました。次回参加する際は、マイクの扱い方を上手く出来るようになりたいなあ。有難うございました。
Sight さん、コメントありがとうございました!参考にしていただけて良かったです。
マイク一つで歌が変わるほど、ボーカリストにとってのマイクは、自分と一体と言えるくらいです。
マイクや機材の使い方も大事ですが、マイクに乗る声を作ることも大切ですよね。
単純にボリュームだけではなく、声の響きや言葉の伝え方によっても違ってくるので、試してみてみてくだい(^^)
お返事とアドバイスを有難うございます。バンド経験のある友人にも聞いて勉強してみようと思います。取り急ぎお礼のみにて。
はじめまして!バンドでヴォーカルをしています。
ひとえさんのお話を拝見させて頂いて、まさに悩んでいたバンドメンバーとのズレが納得できました。
自分の世界で歌うヴォーカルと、自己中心的なシンセの間で悩んで悩んで、、、
どうしたら、わかってもらえるのかと、、、
カラオケボーカルとは、思いませんでした。
問題は解決してませんが、納得出来た事で気持ちが楽になりました。
ありがとうございます。解決策は、これからスタートします。
メッセージありがとうございます!
楽器演奏者とボーカルの間には、両者が共有きていない相違点がたくさんがあります。
どちらの言い分もわかるし、どちらの悩みもわかります。
でもそれを理解すれば解決できることも多いので、より良い音楽を演奏するための、いい環境作りができるといいですね!
本当にためになるお話し、身にしみます。
これからも楽しみです。
物江さん、コメントありがとうございました!
バンドで歌う際、大人ボーカルが知っておかなければいけないことや不安や疑問についてなど、ボーカル目線の記事があまりないので、参考にしていたけると嬉しいです。