としまえん「メリーゴーランド」歌も声もその時の自分を映し出す

としまえんメリーゴーランド
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先日「としまえん」の遊園地が94年の歴史に幕を降ろしました。

としまえんに行かれたことがある方も多いと思いますが、実は私にも一生忘れられない「としまえん」の素敵な思い出があるのです。

今日はいつもとちょっと違った内容になりますが、その時の出来事と、その時の歌についてお話ししたいと思います。

 

あれは、まだ20才か21才の頃でした。

当時私は売れない歌手で、せっかくのチャンスを掴んだにもかかわらず、この先どうやって歌っていったらいいのか悩み葛藤していました。

事務所の社長さんもマネージャーさんも私をなんとか売ろうと頑張ってくださったのですが、
私自身は仕事で歌謡曲を歌う自分と、
オリジナルを作って歌いたい自分との間で、
どっちが本当の自分なのか、わからなくなっていました。

ちょうどその頃、ニッポン放送のある番組で、ちょっとしたコーナーを担当させていただいてたんですね。
それは「夜の突撃レポート」的な内容で、突然いろんなところに押しかけて生中継レポートするというものでした。

その番組の企画である日、夜の「としまえん」を訪れたのです。

もちろんが閉園していて、誰もいない真っ暗な遊園地を。
そこに「入る」のは、まるで「忍び込む」ような気分でワクワクしながら。

そこでなんと。

あのメリーゴーランド「エルドラド」を!
私だけのために!!
動かしていただいたのです!!!

暗闇の中、電源を入れたとたん、一瞬でメリーゴーランドだけが輝き、私だけを乗せた回転木馬が動き出しました。

それはもう完全に非日常な光景で、密かに興奮したのを覚えています。

そのときの冷たい木馬の手触り、夢の後のような物寂しげな夜風の匂い、程よく年季の入ったアールヌーボーの天使たち、異空間にタイムスリップしたようなそこだけにフォーカスした光。

なんという贅沢。

機械仕掛けの芸術的乗り物である回転木馬のカルーセルエルドラド(CAROUSEL “EL DORADO”)は、ドイツのヒューゴー・ハッセによって作られ、1907年にミュンヘンで開催された“オクトーバーフェスト”において披露された。当時、世界最大にしてもっとも豪華なカルーセル(回転木馬)と言われた。 エルドラドは100年以上の歴史を持つ世界的に貴重な文化遺産として、2010年に『機械遺産』に認定された。 <Yahooニュースより、写真はとしまえんの公式サイトより引用。>

 

こんな素晴らしいメリーゴーランドを、独り占めさせていただいたなんて!!

2020年8月31日に「としまえん」が閉園されると言うニュースを知り、その時のことが蘇ってきました。

そしてその時に作った、「メリーゴーランド」と言う曲があったことを。

 

当時は自分で曲を作ったりしていたのですが、いまはその時の曲も押し入れの奥の箱の中。

あの頃はちゃんとしたデータで音源を保存したりしていなかったので、デモテープもボロボロ。。。笑

「あれ、どこいったっけ。。。。」と再び引っ張り出して、埃のかぶったアルバムを開くように、その時の自分が懐かしく思えて。

カセットデッキで再生してみたものの、ノイズだらけで音も劣化してヒドイ・・・。
(なんか大昔の人みたいですが、ついこの前までカセットテープでしたよね!?)

それにしても、びっくり!!

ささきひとえ
声、可愛い〜(^^;) え?これワタシ??
回転間違えてない?いやテープはどちらかというと伸びるか・・・

 

な〜んて思いながらあまりの変化に、こんなにも月日は流れて、私も大人になったな〜(っていうか、年取ったなあ〜)と実感しました。
歌も全然違うし。それもまた歳を重ねる面白さでもあります。

・・・て言うか、皆さん、声も歌もこんなに変わるんです。(気持ちはあんまり変わってないのが痛い(^^;;)

あまりに別人すぎて驚かれると思いますが、それも含めて聴いていただけたらうれしいです。

 

そしてなんて言うか、「としまえん」のエルドラドがもう見られないと思うと、『あの時、こんな曲を作ったんだよ』と今このタイミングでエルドラドに伝えなきゃ、この思い出も葬られてしまうような気がして。。。

その時は、閉園のことを考えて歌詞を描いたわけではないのですが、エルドラドの終わりを歌っていました。

 

 

メリーゴランド

Dreaming again 
軋んだゼンマイを風が凪う
笑い声残した メリーゴランド

切なくこごえる山吹色の匂いと
歩いた並木 遠く

晴れた午後と日曜はいくつも夢のせて
回るまわる髪なびかせて
チェルビムたち追いかけた

Dreaming again 
あの日の緩やかな陽だまりは
今もそっとどこかで君を照らしてる

キラキラと魔法はブルネットの毛先まで
届くどんな時でもずっと
目を凝らして受け止めて。

Dreaming again
いつしか木馬は色褪せて
今はもう動かない…メリーゴーランド

今はもう動かない…メリーゴーランド

 

不思議なのは、同じ頃にお仕事で歌っていた歌謡曲は、全然違う声で歌っています。
曲調が違うからなのか?私の中の二面性が現れていたのか?

それは今でもわからないのですが、確かにどちらも私自身の歌でした。

歌はその時の自分を映していて、まるでアルバムのようですよね。

その時々で違う表情に出会うことができるのも面白いし、
きっとあなたの歌も、今その瞬間を映しているのだと思います。

 

ささきひとえ
いまの私が歌うと、きっと全然違う歌になるだろうな〜。

そんなことも不思議に思えました。

 

としまえんのメリーゴーランドの思い出の一つとして、30年以上も前の私の個人的なエピソードにお付き合いいただきありがとうございました。

 

サヨナラ、素敵な記憶をありがとう。

 

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12 件のコメント

  • 聞いてくださってありがとう!私もこんな可愛い時期があったんですね〜笑

  • 素敵な歌声、発見しました✨
    かわいらしい歌にかわいらしいお声✨
    改めて、素敵な先生に習えている今を幸せに思いました〜✨

  • 全然古さを感じさせない良い曲ですね。NHK のみんなの歌で流れそうな歌です。

    • ありがとうございます(^^)私自身はずいぶん年季が入ってきましたが(笑)
      簡単で覚えやすい曲なので、子供たちにも歌ってもらえたら嬉しいな〜!

  • とっても貴重な音源を紹介してくださってありがとうございます~!
    非日常を乗せてゆったり回るメリーゴーランドが目に浮かぶようです。
    ゴージャスなんだけど、ちょっと憂いを帯びて物悲しい感じ
    長きにわたって楽しい思い出をたくさん作ってくれたメリーゴーランド。
    今はもう動かないけれど、確かに人々の心には残っているメリーゴーランド。
    なんか胸が熱くなりました。
    大人のバージョンも聴いてみたいです☆

    • 本当に貴重な体験をさせていただきました。
      遊園地とかサーカスって非日常の夢の世界だけど、終わってしまった後の切なさがなんとも言えないですよね。
      また歌ってみたいです(^^)今歌うとどうなるのかな〜!

  • ほんとに声が違いますね!今先生が歌われたら艶っぽく、それこそアルバムを開くような感じに聴こえるのでは?と想像しました。いつか聴いてみたいです。
    Sherry-Moomもすごく素敵だし、先生のオリジナル、もっと聴いてみたいです!

    • ありがとう(^^)こんな可愛い時もありました〜笑
      私のオリジナルは3拍子の曲が多くて「Sherry Moon」もそうですね。
      Ayaちゃんのオリジナルも素敵でした!やっぱりオリジナルってその人のその時を表しているんですね。

  • 可愛くて素敵な曲ですね(^^)
    そして驚いたのは声は子供っぽくても、この歌は確実にひとえさんと感じる事
    もし今のひとえさんが歌うと全然違うであろうこの曲は、思い出と共に、違う顔を見せてくれるんでしょうね。

    • ありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです。全然違うけどやっぱり自分は自分なんですね。

  • メリーゴーランドの動画か アニメーションをつけて NHKの「みんなの歌」で放映してほしい。洗練された可愛さのある いい歌ですね。先生の若い時の歌声も素敵です。

    • 米谷さん、ありがとうございます!そうですね。「みんなのうた」っぽい(^^)
      どうしてもサーカスっぽいアレンジにしたかったので、そういう雰囲気が伝わると嬉しいです!

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